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塗料ってなんだろう


先日塗料メーカーの方から無機塗料について色々教えていただきました。

「・・・」

この会社に入ってから建物用の塗料について色々調べ、看板屋にいた時も塗装は行っていたので大まかな事は理解出来ます。
しかし!
よく考えたら、「結局のところ塗料って何?」となったのです。
世間一般の知識は有っても、塗装屋でホームページを作って塗料について色々説明している者が中途半端にしか理解してないのはダメなのでは?と。
消費者庁のサイトには「塗料とは、流動性を持ち物体の表面に塗り拡げられ、薄い膜となって乾燥、固化、密着してその物体の保護、美化及びその他の目的を達成するもの」と書いてありました。
なるほど、でも曖昧。
なので某・国営放送のチコちゃんのように「塗料とは何?」を掘り下げて調べてみました。

調べたのは住宅塗装用で主に使用される塗料だけなのですが、他の用途を含めると結構な種類がありました。
以前は外壁に使われることもあったアクリル塗料、塗膜が柔らかめなウレタン塗料、綺麗な仕上がりで高機能なシリコン塗料、汚れを寄せ付けず頑丈なフッ素塗料。そして機能性塗料と言われるラジカル制御型塗料や無機塗料等々。


ではまず組成についてですが、
樹脂の粒子、色を付けるための顔料、色ムラや液だれ等を無くすための添加剤を、水や溶剤等の溶媒に溶かして液体にしたものが塗料になります。
下の図にあるように、揮発タイプは塗装をすると溶媒が蒸発し、樹脂と顔料が融着して硬くて滑らかな塗膜が形成されます。(揮発乾燥)
二液タイプは硬化剤等を混ぜ込んでから硬化が始まるので重合して硬化し塗膜となります。(二液重合乾燥)

あくまでも代表的な組成なので塗料によっては全く違うものもありますが、仕組みとしてはこのような感じですね。

他にも用途に応じて様々な仕組みで硬化して塗膜となるものがあります。
一般的には揮発タイプより重合タイプの方が、化学反応を起こしながら乾燥していくので、結合が強く丈夫な塗膜が形成されるようです。

二液重合乾燥の図解

先日勧められた、塗装に関する動画サイトを見ていたら、ちょうど「塗料って何?」と言うタイトルを見つけたのでじっくり見てみました。
端的に言えば「塗料とは色が付いた糊」だそうです。
確かに!
糊あるいは接着剤の成分が水か合成樹脂かの違いはあっても、下地に塗って乾燥したら密着して剥がれにくいベタベタな液体。
ヒトで例えるなら口紅やマニキュアになりますか。
口紅を乾燥させるには数年掛かりそうですが、マニキュアは有機溶剤に溶かしてあるので乾きも早くまさに爪用の塗料と言えますね。ちなみにマニキュアより高級なイメージのジェルネイルは紫外線で硬化するので、塗料と言うよりは樹脂に近いのかもしれません。
かなり雑に分類するならインクや絵の具、漆、果てはクレヨンも形態が違うだけで塗料の仲間では?

そして、塗料は下地の保護・識別やデザイン等の為の着色・特別な機能を加える等の様々な用途があり、塗料無しでは快適な生活が望めないほど生活に密着しています。
もし塗料が無かったら絵画すら石の粉を擦り付けて着色するレベルに落ちるので、味気ない生活を強いられそうですね。

ちなみに、塗料が誕生したのは4万年以上前の原始時代らしく、獣脂に顔料を溶かしたり様々な色の金属を含む粘土等を使用して描かれた壁画が世界各地に残されています。
多分最初は木の燃えかすや擦ると色が付く石や金属で線を描き、色の違う粘土で色を付けていた程度でしょう。でも洞窟のように日光や雨に晒されない所を除くとあっという間に消えていく絵を長持ちさせるために、塗料の開発と発展は必須だったのだと思われます。


塗料とは何かという単純な疑問から行き当たった塗料の歴史が、思ったより古くとても興味深いものでした。
遙かな昔に人々は心の豊かさのために生活に彩りを求め、出来るだけ色が残り続けるように試行錯誤を繰り返して塗料を作り出しました。
それが色を付けるだけで無く素材の保護や強化を出来ることに気付いてからは、あらゆる物に使われるようになり、人々の生活と切っても切れないものとなってきたのだと思います。
塗料って、とてもすごいものだったんですね。

塗料の種類についてはまた後日。

ここまで読んでいただきありがとうございます。
HP担当兼雑務の久保でした。